双極性障害は賃金を得る


 きょうは仕事に出なければならない。本当は休みたいくらいの体調なのだ。元気がないわけじゃない。焦燥感と不安感と、それから易怒性の発露がおれをしんどくしている。仕事をしなければ賃金を得られない。賃金を得られなければ、妻たるエデとの蜜のような生活を継続できない。それはいやだ。明白にいやだ。でも労働も、嫌なんですよ。嫌、というよりも不可能、に近い。おれは無能者だ。この生活をあと数十年継続するのは不可能だ。物理的に不可能だと思う。どこかで脳がぷつんと壊れてしまう。そんな気がしている。いまは薬剤のコントロールでなんとかしている。そもそも労働を、薬剤でコントロールしてまで継続する不自然さ、グロテスクさをみな分かっていない。『水と原生林のはざまで』を引用するまでもなく、人間たちは本来のところ、全員が全員働いていたわけではない。働けるわけでもない。養う者と養われる者がいて、それはそれで善いとされている。ギリシアの賢者たちはどうか。養われる者だ。奴隷に養われていた。歴史に名を残しているのはどちらか。賢者たちのほう、すなわち養われていた方だ。

 リチウムを飲んで、バルプロ酸を飲んで、リボトリールを飲んで、双極性感情障害と格闘しながらきょうをやり過ごそうではないか。

 じつのところおれは、ダルタニャンは、仕事中デスクでポケモンカードのデッキリストを作成して時間を潰している(暇なわけではなく、精神的な安定を保つため)。

双極性障害と死闘しているダルタニャン


 昨日はおれはあまり寝付きがよくなかった。というのも、月曜日がやってくるのが非常に恐怖だったため。おれは比較的人と付き合うのに苦手意識をそう持たないはずの人種であるが、どういうわけか、双極性障害を発症してからというものの、会社に行ったり買い物(人で混み合っているスーパーなど)に行くのが苦痛でたまらない。そう、何を隠そうおれ、ダルタニャンは双極性障害を有している騎士だ。アロンソ・キハーノの二つ名を借りるならば、憂い顔の騎士だ。正確には双極性感情障害というのが病名らしい。あと依存症。アディクションをもっている。何の依存かと言えば、おれはトー横女子なので(※トー横女子ではありません。ラ・ロシュル攻囲戦にも参加したことのある屈強な勇士です)、金パブ依存である。すなわち、カフェインとエフェドリンとコデインに依存しているんだな。これらを過剰に摂取すると、不安感が一気に消し飛び、眠気が晴れ、集中力が鬼神のように鋭くなる。ドーピングだ。金パブみたいな風邪薬依存は、表になっていないだけでけっこう人口が多い(薬剤師がそう言っていた)のだが、つまるところその効能が、「サラリーマンのためのドーピング」であるから便利なのだな。それだから流行するのだ。労働者のクスリとしてはこれ以上ないほど好条件が揃っている。手に入りやすさ、価格、副作用の軽さ(連用しすぎると入院するほど重いぜ、さすがに)、などなど。

 おれは新婚という身分を手に入れたのだから、こんなに幸せなことは他にないのだから、しっかりと依存症とも向き合い、これを克服し、まともになりたいよ。なあ。

 最近は友人の福田院法師、甘露院法師、双嵐院法師、結縁院法師、その他世話になった先輩方と連絡をとっていないし、会ってもいない。独身時代は毎週のように食事をしていたものだが、いまは結婚をおれがしたもんだから、みんな遠慮をして連絡をよこさないようだ。これじゃさみしいので、エデ(妻)に許可をもらって、おおいに交歓したいもの。